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​▽Overview

 note by note cookingはHervé thisにより1990年代に提案された調理法で、料理の構成要素である”形”、”匂い”、”味”等を、食材を使わずに化合物から構成する手法である。"Note by note"とは”一つずつ”、”一音ずつ”という意味であり、note by note cookingは食材を化合物から、一つずつ構成していくという意味である。

 分子ガストロノミーは、1992年に科学者と数人の料理の専門家が集まりった研究会にて作られた造語であり、note by note cookingは前記研究会のThisによって提案されたポスト分子ガストロノミーである。

 このURLにHervé This執筆の記事”The Future of Food is Note by Note Cooking"があるので、訳して理解を深めたいと思います。

以下、日本訳

 近頃、伝統的な食に挑戦した様々なプロダクトが発表されている。ハーバード大学の教授David Edwardの発明”Le Whaf"は、太ることを気にせずに、食べ物の匂いを嗅ぎつづけることが出来るものである。ラボで作られた人工肉によるハンバーガや、シリコンバレーのソフトウェアエンジニアが開発した、Soylentという完全代替食等がある。

 未来の食という意味では、Hervé thisにより考案された"Note by Note Cooking"というものもある。分子ガストロノミーの次のレベルとして、この手法は肉や野菜の組織を使う代わりに、食材を構成する化合物を用いて料理を行う。今回は、Thisによりnote by note cookingの裏にある考えを述べ、なぜこれが未来の食となりうるのかを説明する。

 2050年、私たちは何を食べているでしょうか。信じて下さい。それが何であれ、それはnote by note cookingによって作られています。

 まずは、私自身の事と、私の仕事について説明させてください。1986年、私はOxford大学の物理教授の故Nicholas Kurtiと出会い、一緒に新しい分野である”molecular and physical gastronomy"を作りあげてきた。この中で、私たちはラボの機材を用いて、どのように現代の調理過程を進化させようか議論してきた。Kurtiは物理で使うような機材を台所に持ち込み、私は化学の機材を持ち込んだ。1999年、ついに私たちはこの新たな道具を用いた料理を”molecular cooking"と名づけた。この名称は”molecular gastronomy"と明確に区別するために用いた。

 この2つの用語は少々混乱を引き起こす。しかし、想像の通り、これをここで説明するには長ったらしく退屈である。これだけははっきりさせたいのだが、"gastronomy"は流行りの食事を意味するのでは無く、食の栄養に対する正しい知識の事をいう。この定義は、美食家のJean-Antheime Brillat-Savarinによって確率された。"molecular cooking"という表現は分子とは何の関係もない。これは、科学と料理を区別するためのもので、科学はある現象のメカニズムを解明するもので、料理は食事を作る事である。また知っての通り、molecular cookingは覆いに精巧した。molecular cookigは”techno-emotional"や"modernist”と呼ばれることもあるが、基本は同じである。これらの言葉は、"molecular cooking"は今までになかった道具での料理をさす。

 

 

 

 

 

 

 

挑発的なアイデア note by note cooking。化学がお皿の上に?

  1994年、私はScientific Americanという学会誌にとりかかっており、強烈な結論が必要だった。その中で、どのように化合物が台所で使われるかを示し、最後にこう締めくくった。「私はレシピに、”1ppmのメタンチオールを2滴加える”ような事が書いてある日を夢見ている」。

 1996年、私はこのアイデアを講義し始め、野菜や肉を使わずに化合物を使う料理法を表現するために、"note by note cooking"という言葉を使い始めた。まだに、これが、note by note cookingの定義であり、料理を味や匂い、色等を生み出す化合物を組み合わせる事である。

 初期の段階では、私は自分がおかしく、挑発的であったことを認めなければならない。なぜなら、私は恐らく起こらせることもあったし、一般の人からすると、このアイデアは突飛すぎ、本質的な問題を抱えているのではないかと思われた。そして、私はこの講義をやめ、代わりに"culinary constructivism(食の構成主義"を提案した。

 2004年、私は間違っていたと気づいた。私たちは一般の人がどう思うかに左右されずに、理論的な考えに基づくべきだった。私はnote by note cookingの考えに立ち戻り、始めてnote by note cookingをレストランで披露することになる友人のPierre Gagnarieに提案した。2009年4月24日、香港のMandarin Qrientalで、各メディアの前で始めて披露した。

 私はnote by note cookingが未来の料理となると思っており、この考えは広まって、根付きつつある。

なぜnote by note cookingが未来の料理となるの

 Food Agenciesは世界の人々の健康のための組織であり、彼らは2050年には10億人の人々がエネルギー問題と水問題により苦しむと想定している。どうやってこれらの人々を食わせたらよういのか。何とか6億人は対応出来る。

 食品腐敗は上記の問題を解決する上での、主要な要素の一つであり、調査ではこれは農場で作られる食物から水を抽出することで、削減することが出来るかもしれないと述べられている。この新たな手法は、いくつかの画期的な結果を生み出すかもしれない。一つ目に、膜処理をかけた食物は、微生物に対して強い。二つ目に、これらの食物(水を抽出したもの)は新たな効率的な水供給システムとなる。水輸送のコストが減り、枯れた土地の水源になる。欧州委員会では“動物性タンオパク質を植物性タンパク質に置き換えること”に向けて動いているHorizon 2020 Framework Program 8に投資している事も述べておなねばならない。

 ある人は、note by note cookingは、品質の低下を示し、また、新たな材料の探索を制限するものと見るかもしれない。実際に、料理の芸術性を高める良い機会となっている。note by note cookingは名前が示すように音楽のシナジーを連想させるものであり、音楽の進化と同様に示唆的なアナロジーを示す。音楽の構成では、まずエンジニアが純粋な音を作成する。ミュージシャンはそれを音にし、統合者はコンピュータよりも実践的にする。作曲家が機材を積み上げるのではなく、音を積み上げて音楽を作るように、料理も野菜や肉を使うのではなく、化合物を対あげるようになる。note by note cookingは音楽と同じで、純粋なnote by note coolingは現実的なnote by note cookingとは異なる。

 例をあげると、油はトリグリセリドの混合物で、それを各物質に分けることは無駄である。確かに料理は、ある新たな分別法が生まれると、新たな材料を得ることがあり、融点の違う油を生み出す事はあるが、これは重要なことではない。これは、でんぷんも同様である。でんぷんも同様で、でんぷんはポリサッカロイドとアミノペクチンから成る。トウモロコシデンプンの純粋な85%はアミノオエクチンであり、より正確な料理のためには重要かもしれないが、これをより純粋なものにすることは、恐らく意味はない。

 note by note cookingの過程は複雑で、時間のかかるものに見えるかもしれない。ステーキを焼く場合に、通常の調理法では、肉を鉄板の上におくだけに対して、note by note cookingでは、匂いや色、形状等の料理の構成要素を構築しなければならない。実際に考えてみると、ステーキをオーブンで焼く時間と、6杯のプロテインと4牌の水、色づけをする、匂いをつけるか化合物等を混ぜ合わせる時間は変わらない。

 私たちは実際に、最適な匂いとなるまでに何時間もかかる伝統的な赤ワインソースと、作るのに1分ほどしかかからない”Sauce Wöhler”を比べる実験を行った。Sauce Wöhler”は、水と赤ワインから得られたフェノールと、酒石酸、グルコース、塩、ピペリン、ゼラチン、乳化した油を沸かす。私たちはnote by noteで作ったもののほうが良かった。公正に言うと、特定のテロワールのシラー産ぶどうから得られたフェノールは素晴らしい。note by note cookingで作ったものが品質が低い理由は無い。

 私の指摘は、現在の料理人や、豊富な食材をすぐ食べることの出来るお客さんにとって、note by note cookingは匂いや色、​味等の新たな可能性となる。それらは手の届くところにあり、新たなフロンティアは目の前にあり。私たちは、それらを開拓したいのか、それとも触れずに遠ざけておくのか。

 

私たちには後35年あり、なぜイノベーションの機会を逃すのか?​

 私達は、焦りがないと思っている。料理人は中世と同様に鶏肉を焼いている。しかし、これはイノベーションという観点では良くはない。多くの先進的な料理人や、新たな領域を開拓したい人にとって、多くの研究余地はある。

 多くの理由から、未来の食は今日の食とは異なる事を思い出していただきたい。肥満は蔓延し、現代の生活にあった食を再デザインする必要がある。そして、理由を述べ始めるときりが無いので、今回は簡潔に結論を述べる。

 分子ガストロノミーが流行となり、その流行が戦略によって30年にかけて築かれたものであったために、私はこの記事を書いているのかもしれない。その戦略は、18世紀にフランスに寒波と小麦の収穫低減のための飢饉の再に、じゃがいもを紹介したアントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエによって採用されたものである。同時に、じゃがいもは、フランス医学アカデミーによって有毒とみなされた。パルマンチディエはドイツ人がじゃがいもを食べるを見たことがある事もあって、フランスの食事に取り入れることに多くの功績を残した。導入を成功させるために、彼は国王に食してもらい、この事実を宣伝した。もし、じゃがいもを国王が好めば、これは国民にとって十分なもので、この話はすぐに広まり、長く続いた。私たちは、この方法を分子ガストロノミーで使った。もし、最高の料理人が分子ガストロノミーを使い、それを食したのなら、一般の人もそうしたがる。近頃、siphonはフランス全土で購入することができ、料理人は循環器や液体窒素やロータリーエバポレータを私用している。

 私たちはnote by note cookingは未来の食であると信じているため、同様な戦略を適用している。

RECIPE for a Note by Note “Steak”

Editor’s note: After receiving This’ submission, we asked if he could provide the recipe for the steak substitute he refers to in the piece. And here it is, untested. If you decide to make it, do let us know how it goes.

Take six spoons of proteins which can coagulate.

Add four spoons of water.

Add two spoons of glucose.

Add colorants.

Add amino acids according to your taste.

Add odorant compounds dissolved in oil (for example, 1-octen-3 for a mushroom or heptanone if you generally like blue cheese).

Pour this dough in thin layers on paper.

Comb it.

Cook in a microwave for some dozens of seconds, until coagulation.

Pile and fold the coagulated and striated sheets into a piece.

Serve with a sauce.

Le Whaf 
(ref. http://www.dailymail.co.uk/femail/food/article-1350817/Le-Whaf-Now-theres-food-dont-eat-INHALE.html)

​▽References
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